26歳の交換日記

1988年生まれのすみれとくみこの往復書簡

夏の終わり。(くみこ)

口内炎、大丈夫?

私は最近、親知らずが完璧に生えてたことに気づいた。そういえば電動歯ブラシがわりと真剣に欲しい。

 

褒められたい、っていうのは、すごい欲求だよね。

私も、ひたすら褒められたい。怒られたくない。何か至らないことがあったら、怒られるんじゃなくて、「褒めないよ」って言われたい。そしたら「やばい!」ってなって頑張れると思うから。笑

そういえば、「黒子のバスケ」の脅迫事件の犯人の意見陳述がすごい、って話題になってたの、見た? 私も読んだけど、切なくなった。気持ちがわかるような気もした。

黒子のバスケ」脅迫事件 被告人の最終意見陳述全文公開http://bylines.news.yahoo.co.jp/shinodahiroyuki/20140718-00037501/

 

 

最近、宮崎駿の『本へのとびら』って本をずっと繰り返し読んでる。

岩波少年文庫から50冊、宮崎駿が推薦文を書いて、あとエッセイみたいな感じなんだけど、これがすごいいい。いい、っていうか、ちょうどいい。

ずっとじめじめと悩んでいたのが、私は本一冊を最後まで読む集中力がなかなか続かなくて、本当に面白いと思ったやつしかちゃんと読めなくて、でも難しい本を読まなきゃとか、教養みたいな本を読まなきゃとか、ここ数年、その義務感がすごく出てきてなんか違うんじゃないかなーと思いつつ今にいたるんだけど、

宮崎駿がわくわくしながら、本のおすすめをしているのを読んで、そのおすすめする理由も、そんなに立派な理由ばかりではなくて、でもやっぱり着目する視点がおもしろいというか、「この挿絵のここが、こんなにすばらしい!でしょ?」っていう声が連呼されると、なんだかその後ろを歩きながら本が楽しめるような感じがしてすごくいい。

宮崎駿が、「児童書が僕には合っていた、他の本は難しすぎてよく分からん」みたいなの書いてると、なんか心から嬉しくてほっとして、やっぱり本って、好きな本を何度も読み返す読み方が私は好きだなあ、なんて素直に思ったのでした。

10冊を1回ずつ読んでも、何も覚えてないかもしれないけど、1冊を10回も読んだら、わりといろんなフレーズが体の中に流れ込む気がする。

 

もうひとつ面白かったのが(この本の話ばかりで…)、この本の中で宮崎駿は何度も翻訳者の石井桃子さんのことを褒めてるんだけど、

石井桃子Wikipedia見てたら、太宰治とのエピソードがすごく良かったから、コピペ。

 

太宰治との出会い

 

石井は1940年、『新潮』5月号の『走れメロス』で、初めて太宰治の名を知った。以前イギリスの本で読んだ『走れメロス』のモチーフであるメロスとセリヌンティウスの逸話に石井は感激したのだが、そのことを知人に話すと「きみ、そんな話、ほんとうにあるかね」と水をさされたことがあった。そのため、太宰の作品でこの逸話がモチーフとなり「ほんとうにうれしく思」ったという。

同年、井伏鱒二の家で太宰と偶然同席した石井は太宰から「ちょっとつかみどころもないほどやわらかい感じの、私には少年のように若々しく思えた人」という印象を受けた。井伏によると、「それから後は当分の間、太宰は桃子さんにあこがれるやうになつてゐた」という。

あるとき石井が自宅の庭にある白樺の木を薪にするため奮闘していると、その姿を井伏に目撃された。井伏がその時のことを太宰に話すと、「素敵ですね」「いつぺん桃子さんのところに、僕を連れてつてくれませんか。でも、僕は他意ないんだがなあ」と太宰は言った。

井伏によると、太宰は石井を念頭に置いて「僕は恋愛してもいいですか」と井伏に相談し、井伏から「そんなことは君の判断次第ぢやないか」と返答され、「やつとそれで安心した」と言ったことがあるという。

後に井伏は「太宰君がね、あなたのこと、あの人、えらい人ですねって言ってましたよ」と伝え、石井を笑わせた。酒を飲まない石井の家にベルモットがあることを知った井伏が太宰を連れて石井宅を訪問したこともあった。戦後まもなく石井が宮城県で農業を営んでいた頃、井伏への手紙のついでに「太宰さんも東北ですね」と書いたところ、当時青森県の実家に身を寄せていた太宰の住所を井伏から知らされた。しかし農業に忙殺されていた石井は太宰に連絡を取ることができなかった。

1948年に太宰が情死した後、石井は井伏から話を持ち出されないのに太宰の噂話をし、主に太宰の小説について印象を語った。そのとき井伏は「この女性が、太宰のあこがれてゐたのを意識して話してゐるものと解釈した」。そこで井伏が「『すつぱりして、気持のいい男でしたね』と云ふと、『ほんとよ、いい人でしたわ』と桃子さんは、わが意を得たといふやうに答へた」。

一方、石井は井伏に向かって「友情って、結局、そこまでは繋ぎとめられないものなんですね」と責めるように言ったとも回想している。そのとき井伏は「太宰君、あなたがすきでしたね」と言ったため、石井は驚いて「『はァ』と笑うような、不キンシンな声をだしてしまった」後、「それを言ってくださればよかったのに。私なら、太宰さん殺しませんよ」と答えた。すると井伏は「だから、住所知らしたじゃありませんか」と言った。

 

 

本へのとびら――岩波少年文庫を語る (岩波新書)

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